火事2004年2月2日、マニトバ州にあった、ダンナの経営していたビジネス(ホテル&バー)が火事になり全焼してしまった。当時そのビジネスはマネージャーに任せ、私たちはバンクーバーに引っ越して来ていた。 火事の知らせを聞いたのはバンクーバー時間の夜中の1時くらい。 一睡もせずに、次の日朝一番の飛行機でマニトバへ飛んだ。 ウィニペグの新聞(一面だったのさ)に載った、火事の様子。 新聞をデジカメで撮ったのでちょっと見にくいかもしれません。 でもかなり大きな火事だったのが分かると思います。 そして火事の翌日の様子。 2月のマニトバといえば、外はマイナス20℃~30℃くらい。 この日もすごく寒い日だった。 大量に放水され、それが凍って火事後はこんな有様。 ホテルといっても田舎のホテルなので、客室は月貸しされていて「アパート」といった感じで、火事のあった当時10~15人くらい建物に住んでいたと思う。 当時そのホテルのマネージャーと婚約していたマリサが火事に気付いた最初の人だった。当時彼女もこのホテルに住んでいた。 夜中の3時ごろ、火災報知器が鳴るのを聞いたマリサ。 たぶん誤報だろうと思いつつ、一回に降りて様子を見に行くと、地下の方から煙が。 本当の火事だと驚いたマリサは消火器を取りに2階へ戻り、もう一度1階へ降りたのだけど、煙がすごい勢いで回って来ていて、消火器なんかで手に負える状態じゃないことに気付いたらしい。 その時マリサは1階にいたので、建物から逃げ出そうと思えばすぐに出来たのに、勇敢にも2階へ戻り、一つ一つの部屋のドアを叩いて周り、寝ている人たちを起こして非常階段から避難させた。当時マリサは妊娠中で、確かほぼ臨月だったと思う。大きなお腹を抱えての行動だった。 この時のマリサの行動がなければ、何人か死んでいただろう。 マリサと住人たちが外へ出た頃には、2回にも煙が充満し出していたらしい。そして外に避難した後、彼らが外から建物を見ると、なんと1人だけ逃げ遅れていたのが見えたらしい。彼は熟睡していて、マリサのドアを叩く音や声に気付かなかったらしい。でもその頃には2回の廊下はもう煙が充満してて非常階段まで行く事もできず、この逃げ遅れた人は窓の外に出て(バルコニーはない)外壁のエッジにしがみついて、今まさに飛び降りようとしていた。 マリサたちが、すぐに消防の人が来るから飛び降りるなと説得し、結局この人は無事に助けられた。 そして消防局の人があぶないから道路の向かい側に渡るようにと指示をして、みんなが向かい側に渡ったちょうどその頃、ガスに引火したらしく、ビルは大爆発! 窓ガラスも全部吹っ飛び、ロビーのカーペットなんかも道の向かい側まで吹っ飛んで来たらしい。 そして後は最初の写真のような状況に。 マイナス何十度の中での消火活動は本当に大変だったらしい。 次の日火事現場に到着した私たちに、消防局の人が最初に言った言葉。 「この火事で、死者は1人もでなかったんだよ。一歩間違っていたら住人全員死んでたかもしれない。君達は本当にラッキーだ。もし1人でも死人が出てたら、君達の残りの人生は同じじゃなかったよ。」 この火事+火事後にまつわる話を書けば本当に長くなる。 このビジネスは私たちの時間と労力を費やして育て上げたもので、思い入れももちろんあったし、何といってもこれが私たちが築き上げた財産だった。 (まあ財産というには大げさかもしれないけどね) それを一夜にして失ってしまった。 最初の数ヶ月はものすごい山積みになった問題と、大事なものを失ったショックでかなり精神的にも辛かった。 でも私なんかよりも、ダンナやダンナの家族の方がよっぽど辛かったと思う。 でも人間というものはこういう経験を通じて何かを学ぶものである。 奇麗事じゃなくて、本当にそう思う。 私がこの火事から学んだこと。 それはお金がこの世で一番大事なものではないということ。 そして家族の支えがどれだけありがたいものかということ。 確かにお金は大事だし必要だ。それを否定するつもりはないけれど、でも結局は金は金。失ってもまた頑張れば取り戻すことができる。何年かかるか分からないけど、また頑張ればいい。 でも人の命は一度失われると取り返すことはできない。だから、消防局の人が言ったように、私たちは本当にラッキーだったのだと思う。 この火事で誰一人命を落とすことがなかったのだから。 昨日「ちょうど2年だね」なんてダンナと話していて、ダンナが私に言った事。 「僕がこの火事から学んだことはね・・・『まあ、大きな問題が起こってもあまり心配するな』ってこと。時間が経てば解決していくものなのさ。」って。 確かにその通りだな~と思った。 この発言は2年たった今だからこそできる発言だが、確かにあれだけ山積みになってた大きな問題たちも、時間とともに解決してきた。 今でも全ての問題が解決したわけじゃないけど、まあなんとかなるでしょうって感じ。 人間、失敗や挫折みたいなものを繰り返してこそ成功していけるんだと思う。 これからも失敗や挫折に負けないくらい強い人間でありたいと思うし、 失敗や挫折から何かを学び、それを次のチャレンジにつなげていけるくらい、ポジティブな人間でありたいと思う。 ↑ホテルの跡地。 |